物語のある風景

先日の祖母の告別式。

祖母が眠っている棺の中に、参列者が花と思い出の品々を入れていたときのこと。

祖母の思い出の品々の中には、若かりし日に祖父が祖母に宛てた山のようなラブレターがあった。ちなみに祖父は、2年前に他界している。

その手紙たちを僕の母が枕元に置いた。

その時のことである。

親戚のおじさんが、さり気なく、すっと入ってきて祖母の枕元に一通の手紙を置いたのだ。あまりに自然に入ってきたので、そこに手紙が置かれたことに誰が気づいただろうか。

祖父の手紙はかなり昔のもので、黄ばんでいる、を通り越して茶色くなっている。その中に真新しい白い封筒が入ってきたものだから、やけに眩しく見えた。

そのおじさんはどんな思いでその手紙で置いたのだろうか。この世の誰かに読まれることは永遠になく、あの世の祖母だけが読めるその手紙。

そのおじさんは何を思い、何をしたためたのか。想像せずにはいられない。

ただ、それだけのお話。