起業のハードル〜志の低い起業

『未来を切り拓くための5ステップ 起業を目指す君たちへ』(新潮社)を読み終えた。


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著者の加藤崇さんは、東大の研究者だった中西さん、浦田さんとともに、ヒト型ロボット開発・製造会社SCHAFTを2012年5月に設立し、2013年11月にGoogleに売却している(立ち上げから売却に至るまで何という短かい期間!)。

本書は、読んだ人に「(起業が)自分にもできるような気がする」と思ってもらうことを目的の一つとして掲げている。

米国のベンチャー起業家の言葉、エピソードを積極的に引用し、内容も具体的なので、わかりやすいし、おもしろい。何より加藤さん自身がベンチャー企業を立ち上げているというバックボーンが内容に説得力を与えている。

が、そのわかりやすく、説得力のある内容とは裏腹に、起業に対するハードルはちっとも下がっていないように感じた。

まず、加藤さんがどんな人なのか知ってもらいたい。
経歴を簡単に記すと、


   *在学中、柔道部主将を務める
オーストラリア国立大学MBA
IT企業執行役員、技術系ベンチャー企業社長…


かなり雑なまとめだが、
これだけの情報でもわかる通り、加藤さんは超エリート、高スペックである。

加藤さんの放つ「光」の強さに僕はまず、目が眩んでしまった。

「光」を得るまでに血のにじむような努力をしてきたのだろう。最初から「今の」加藤さんがいたわけなのではないだろう。

しかし、今までに乗り越えてきた数々のことがあまりにサラッと書かれている(僕なぞは、大学時代、体育会系独特の上下関係に嫌気がさし、3ヶ月で部活を辞めてしまった人間だ)。

加藤さんは本気で、熱意を持って、起業への間口を広げようとしていることは本書からひしひしと伝わる。が、僕みたいな失敗と挫折が人生の大半を占める(が、独立には憧れているというめんどくさい)人間からすると、絶望的な距離感を感じるのはなぜだろう。

そのひとつの答えを、社会派ブロガーちきりんさんのブログ「2015-04-25 単位(ケタ)くらいは明確に」(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20150425)に見た。

要するに加藤さんが語っている「レベル」と、僕が目指すべき「レベル」にあまりに乖離があるのだ。

「ビジネスを始める」と一口に言ってもさまざまなレベルがある。ちきりんさんの考えるビジネスのレベルは以下の通りである。

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Facebook, Apple, Google みたいな世界規模のビジネスに育てたいのか
楽天とか DeNA みたいに、日本だけで一千億円以上を目指すのか
・数百億円くらいを考えているのか
・数十億円のビジネスを目指すのか
・数億円(月商で一千万円ちょい)の規模を想定しているのか
・数千万円(月商 数百万円)= 個人事業+αのレベル、なのか
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おそらく加藤さんの見ている起業のレベルは、「Facebook, Apple, Google みたいな世界規模のビジネスに育てたい」あたりだろう。

一度しかない人生、大きい夢を持つべきだ、と言う人もいるだろうが、決して若いとは言えない年齢になりつつあり、「根拠なき自信」に身を委ねられるほど熱狂もしていない僕には居心地が悪い。

そういうところでいうと、僕の目指したい(何とか目指せる)レベルとしては、下2つくらいだろう(これでも相当ハードルは高いだろうが)。

そのせいだろうか、『未来を切り拓くための5ステップ』を読む前に読んだ『東京以外で、1人で年商1億円のネットビジネスをつくる方法』(中村あきら、朝日新聞出版)の方が身の丈に合っており、しっくりきた気がする(だからといって、ネットビジネスがやりたいというわけではない)。

人生何事も足るを知ることが肝要だ。